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電気の小売という事業とは
電気を売る・買うとはいったいどういうことか
今般の電力システム改革では、電気の小売が全面自由化され、世間では、(小売事業者サイドから)電気を自由に売ることができる、とか、(消費者サイドから)自由に購入先を選ぶことができる、とかいわれています。「電気を売る、電気を買う」とはどういうことでしょうか。
2016 年4月1日施行の電気事業法下では、電気の小売ができる事業者を小売電気事業者といいます。一般の用法ですと、「小売」とは、製造業者・卸売業者から商品を仕入れて、最終消費者に販売すること、とされます。販売は、法律的には、売買契約ですから、その「売」をとって、小売といわれていると考えられます。しかし、電気事業法によりますと、小売電気事業とは、小売供給(一般の需要に応じ電気を供給すること)を行う事業とされます(同法2条1項参照)。「小売」とはいいつつも、その実体は、販売ではなく、電気の供給契約ということになります。元々電気は、物理的に存在しないものですから、商品とはいえません。
従いまして、電気の小売とは、電気を売るのではなく、「電気を供給すること」という
ことになります。本書でも、「小売」とか「販売」いう表現を用いることがあるかもしれませんが、内容は、電気を供給する、というサービスを内容とする契約を指していることに注意が必要です。
なお、小売事業者は、消費者等の需要家から電気料金を受け取る一方で、発電事業者に電気を作るための費用(発電料)を又、送配電事業者に電気を運ぶための費用(託送料金)を払います。そして、残りの料金のうちから、電気を売るための費用(営業費)を除いたものが、小売事業者の利潤になります。
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